8月7日の雨宿り 製作/配布元 ノベル型アドベンチャー Gara-Land |
ノベル型のアドベンチャーで、 タイトルの通り、バス停で雨に降られた主人公と女の子二人が、 そこで雨宿りすることになる。 そこにあった一本の傘を見つけた時、 初対面同士の奇妙な会話が始まる。 |
グラフィック/サウンド 評点☆☆☆ |
透明感のあるグラフィックとサウンド、 全体的に物憂げでにじんでいるようなグラフィック。 どちらも「上手い」と唸らせるものではないが、 高いレベルで作品、テキストの雰囲気にマッチして、 独特の世界観を作り上げている。その点で素晴らしい。 グラフィックが少々ラフっぽく粗い点があるのだが、 それが逆に味を出していて、マイナスの印象はない。 |
シナリオ/ゲーム性 評点☆☆☆☆ |
バス停での、互いに初対面である、 主人公と二人の女の子との 奇妙なひとコマを描いた一幕もの。 無駄なテキストは一切なく、 主人公の心理描写と会話のみで話が進行する。 「一本しかない傘を誰が使うか」を話し合うのみのシナリオ。 初対面である故に、その会話は、 常に一歩引いた感じの奇妙な雰囲気に包まれており、 最後まで一貫してその雰囲気が続く。 その独特の雰囲気のためか、 不思議と、何度読み返しても飽きが来ないのが良い。 ただ、全体を通して淡々と進むので、 雰囲気に呑まれてしまわないと味気なく感じてしまう。 |
総合評価 評点☆☆☆☆ |
場面は一幕、ささやかなイベントに小さな選択肢の連続、 それらのほとんどが意味を持っている点など、 短編ノベル式アドベンチャーの基本をすべて押さえている、と 言い得る作品だろう。 テキスト、グラフィック、サウンドと、 すべてが一つの方向に向かっているため、 全体としての完成度は非常に高い。 作品単体でひとつの世界を作り上げてしまった成功例と言える。 ただし、これをシェアウェアにするとなると、 世界が小さ過ぎて物足りないと感じてしまうだろう。 まさに「フリーソフトのための逸品」だと思う。 その意味で「大作とはなり得ない作品」なので、 非常によくできた佳作、というのが全体の印象。 |