ショート・ソード
更新日2003年11月22日
これは、厳密に言うならば、武器名ではありません。
剣を、長さのみで大雑把に分類した際の総称で、
全長70〜80cm程度の武器は、いかなるものであっても「ショートソードの一種」と分類することができます。
ゆえに、特徴などは千差万別なのですが、一応の共通点を見出すことはできます。
ロングソード級の剣と比較すると、身幅が同程度の割に短いこと、刺突に向いた作りになっていることです。
結論として、丈夫で、切先が鋭く尖っており、全長が70〜80cm程度のものをショートソードと呼んでいます。
この長さは、密集した状態での接近戦や乱戦において扱い易かったのが、このサイズだったためです。
戦士といえばロングソード、と思われているのですが、
実際は、徒下の戦士はショートソードを主に使用していたのです。

ショートソードを主に使っていたのは、「men-at-arms」と呼ばれる重装歩兵たちです。
彼らは、先に述べた通りの戦術、つまりは密集形態を作り、接近戦を行うといった戦いをしていました。
味方が密集している中で剣を振り回すはずもなく、当然、その攻撃は刺突が主で、
そのため、切先は鋭く尖っている必要があったのです。
さらには、鎧の強度が上がるにつれ、斬撃では鎧を貫くことができなかったことも理由に挙げられます。
また、刺突による攻撃の鋭さを増すために、徐々に剣身の根元は広く、切先に近付くにつれ鋭く尖るといった
三角形の形状になっていきます。
これらの事実は、「人を殺めたくば斬るのではなく、刺せ」といった残酷な現実を、
我々に突きつけているとも言えるでしょう。

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