ボロック・ナイフ
更新日2004年2月12日
ボロック・ナイフとは、柄の左右に、球状の鍔を持つ短剣のことです。
全長は30cm、身幅は2cm、重さは0.3kg程度です。ただ、30cmのうち20cmほどが剣身となっています。
ボロックというのは「睾丸」という意味を持ち、その形状が男性器に酷似していることから、
男子専用の短剣として騎士たちに用いられました。
この球状の鍔は、本来、突き刺した後に引き抜くための手がかりとして付けたものですが、
象徴的な意味を持ったがために、それが幸いして寿命を延ばしたといえます。

ボロック・ナイフは、14世紀ごろになると、キドニー・ダガーと名を変えていきました。
このころには、キドニー・ダガーは儀礼的な意味合いで使われることになります。
キドニーとは、「親切な」という意味を持つ言葉で、
戦場において、致命傷を負いながらも死にきれずに苦しんでいる者を、
速やかに「楽にしてやる」ために用いられたのです。

ただし、これらは「当時の」医学では助からない、という意味で、
現代医学をもってすれば助かる場合もあったでしょう。
医学の発展と武器(兵器)の発展は、常に‘追いつけない’追いかけっこをしているかもしれません。

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